2026.08.27
こんにちは。ツチクラ住建の土倉です。
今年の1月、地区のどんど焼きに行ってきました。夕方、雪の積もった広場に組まれた櫓に火が入って、正月飾りごと一気に燃え上がる。離れて立っていても、顔だけがはっきり熱いんです。

面白いのは、子どもたちが動かないことです。あれだけ「寒い寒い」と言っていたのに、火が入った途端にただ黙ってじっと火を見ていました。火には不思議な力があるのでしょうね・・・。
あの日から半年以上が経って、また空気が変わってきました。飯綱町の9月は、昼間はまだ半袖でいられるのに、朝6時に外へ出ると「あ、これは秋だ」となる。毎年この落差に驚くくせに、毎年忘れています。
さて今回は、この時期にいちばん相談が増えるテーマです。薪ストーブとペレットストーブ、そして飯綱町の補助金の話。
正直に言うと、この制度はかなり手厚いです。同時に、手厚いからこそ知らずに損をしている人が多い制度でもあります。

火が入った薪ストーブ。冬が長い町だからこそ、この暖かさには意味があります。
結論から書きます。飯綱町には「木質バイオマス循環利用普及促進事業補助金」という制度があり、薪ストーブ・ペレットストーブの購入費が補助されます。
| 制度名 | 飯綱町 木質バイオマス循環利用普及促進事業補助金 |
|---|---|
| 対象 | 薪ストーブ/ペレットストーブの購入 |
| 補助率 | 購入額の10分の10以内 |
| 上限 | 1台につき100,000円 |
| 必要書類 | 申請書/協定書/見積書 |
| 受付 | 8月から受付開始。予算額に達した時点で締切 |
| 問合せ | 飯綱町 産業観光課 耕地林務係 026-253-4765 |
「10分の10以内」というのは、平たく言えば補助率100%ということです。補助金の世界では2分の1や3分の1が普通ですから、これはかなり珍しい。
ただし、これは本体の購入費の話です。煙突の工事費や設置費まで全部タダになるわけではありません。ここは後で詳しく書きます。
この制度、名前に「循環利用」と入っているのがポイントです。町のねらいは「ストーブを普及させること」ではなく「地元の木を地元で燃やす循環をつくること」。だから燃料に条件が付きます。
■ ペレットストーブの場合
燃料は長野県産の間伐材等を利用したものであることが必要。さらに、供給者との間で3年以上の協定書を結ぶことが求められます。
■ 薪ストーブの場合
薪は町内での調達が努力目標。町内での調達が難しい場合は、県内での調達が条件になります。
「ホームセンターで一番安い輸入ペレットを買うつもりだった」という方は、ここで一度立ち止まってください。制度の趣旨とズレます。
逆に言えば、燃料の調達先を最初から地元で組める人にとっては、これ以上ないくらい相性のいい制度です。申請書と一緒に「協定書」を出す仕組みになっているのも、そのためです。
理由は2つあります。
1つめ。予算額に達した時点で締め切られます。期限が「◯月◯日まで」ではなく「なくなり次第」なので、寒くなってから動く人が多い年ほど、早い者勝ちの色が濃くなります。受付は8月から始まっています。
2つめ。工事が間に合わなくなります。ストーブは本体を買えば終わりではありません。煙突の設計、屋根や壁の貫通、炉台・炉壁の施工。ここに時間がかかります。10月・11月は町内の工務店がどこも立て込む時期です。
「今年の冬から使いたい」なら、9月に相談、10月に工事。これが現実的なラインです。
ここからは、他の町のブログにはまず書いていない話です。
飯綱町に移住してきた方が、ほぼ全員こう考えます。「りんごの剪定枝がいくらでもあるじゃないか。薪はタダ同然だ」と。
気持ちはよくわかります。実際、剪定枝は毎年大量に出ます。ただ、ここに注意点があります。
ここ、移住者がいちばんやりがちで、いちばん角が立つポイントです。薪をもらうこと自体は歓迎されます。ただ「どの枝をもらっていいか」は、必ず持ち主の農家さんに確認してください。この一手間があるかないかで、その後の近所づきあいが変わります。
それと、りんごの木は薪としては悪くありませんが、細い枝が多く、乾燥にも時間がかかります。「タダの薪だけで一冬まかなう」は、正直かなり厳しいと思っておいてください。
補助金の話をひとしきりしておいて何ですが、私は「まず断熱、次にストーブ」と言い続けています。理由も含めて、6つに整理します。
① 断熱が先。とくに窓。
断熱の弱い家に強い暖房を入れると、燃やしても燃やしても暖まらない家ができます。古い家ほど熱は窓から逃げます。10万円の補助でストーブを入れる前に、窓を見てください。順番を間違えると、薪代がずっと重くのしかかります。
② 費用は「本体」より「煙突」。
補助されるのは購入費です。煙突の部材と工事は別で、しかもここが高い。断熱二重煙突を屋根まで立ち上げると、本体より高くつくことも珍しくありません。予算を立てるときは本体価格だけ見ないでください。
③ 屋根に穴を開ける、ということ。
煙突を通すのは、屋根や壁に穴を開けて塞ぐ工事です。雨仕舞いを外すと、数年後に雨漏りとして返ってきます。雪が屋根を滑る土地でもあります。ここは価格ではなく、施工者で選んでください。
④ 薪置き場と、乾燥の年月。
薪はふつう1〜2年乾かして使います。つまり今年焚く薪は去年割ったもの。ということは、2年分の薪を置ける場所が敷地に必要です。物件を選ぶ段階で、薪棚のスペースがあるかどうかは見ておいたほうがいい。生乾きの薪は煙が出て、煙突も傷めます。

⑤ 隣の家との距離=煙の問題。
飯綱町は敷地が広い家が多いですが、集落の中心部では隣家が近い区画もあります。煙とにおいは、思っているより遠くまで届きます。洗濯物の干し方ひとつでご近所の空気が変わる。物件を見る段階で、風向きと隣家の位置は確認しておいてください。
⑥ 中古物件に「薪ストーブ付き」とあったら。
これは不動産屋として必ず言っています。付いているストーブは、そのまま使えるとは限りません。確認すべきは、煙突の清掃履歴、施工した業者がわかるか、炉台・炉壁が適正に取られているか、本体の消耗部品が手に入る機種か。ここが不明な物件は、「ストーブ付きで得」ではなく「点検費用が乗る」と考えたほうが安全です。
なお、既存の薪ストーブは補助の対象ではありません(対象は購入です)。中古物件で入れ替える場合は、そこも含めて相談してください。
Q1. 敷地に、2年分の薪を積める場所がありますか?
→ ない/自信がない … ペレットストーブへ。袋で買えて置き場所も小さくて済みます。
Q2. チェンソーや薪割りを、趣味として楽しめそうですか?
→ いいえ … ペレットストーブへ。薪ストーブは暖房器具である前に、年間を通じた作業です。
Q3. 停電したときも暖を取りたいですか?
→ はい … 薪ストーブ。ペレットストーブは電気で動くので、停電すると止まります。冬の停電がある土地では、これは大きな差です。
Q4. 燃料を「県内・町内で」安定して確保できますか?
→ いいえ … まずは燃料の調達先探しから。補助の要件にも関わります。
ざっくり言えば、薪ストーブは「暮らし方」、ペレットストーブは「暖房器具」です。どちらが上ということはありません。うちのお客様でも、両方おられます。
薪ストーブのある家は、いいものです。火の前に人が集まるので、家族の居場所が自然と一箇所になる。冬が長い町だからこそ、あの暖かさには意味があると思っています。1月のどんど焼きで子どもが動かなかったのと、たぶん同じことなんだと思います。
ただ、憧れだけで入れると、薪と煙突と灰に追われる冬になります。正直に、両方お伝えするのが私の仕事だと思っています。
「この家に薪ストーブ、入れられますか?」
その一言から始めていただいて大丈夫です。
ご検討中の物件の図面を見ながら、煙突の取り回しと概算をお伝えします。
株式会社ツチクラ住建 土倉進太郎がまずはお話を伺います。ご相談は無料です。
☎ 0120-253-243
HPからでもご相談いただけます。
※本記事は2026年8月28日時点の公開情報にもとづく概要です。補助率・上限・要件・受付状況は変更される場合があります。申請前に必ず飯綱町役場 産業観光課 耕地林務係(026-253-4765)にご確認ください。
※出典:飯綱町公式ホームページ「ペレットストーブ設置補助」、広報「いいづな通信」2026年8月号(No.249)、「農ネットいいづな」第61号(飯綱町農業委員会)
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