2026.10.08
こんにちは。ツチクラ住建の土倉です。
「100万円の空き家」。ネットで見かけると、心が動きますよね。車1台より安い家。
でも、たくさんの古い家を見て、直してきた立場から言うと、安い物件は、だいたいリフォームに1,000万円以上かかります。安いのには、ちゃんと理由があるんです。
でも、不動産屋として正直に言います。100万円の家は、100万円では住めません。
では、いくらかかるのか。今日は、買うときの手数料と税金から、住めるようにする工事、毎年かかるお金まで、全部積み上げてみました。
買うだけで 約120〜150万円(手数料と税金で、物件価格の2〜5割)
そのまま住める状態にするまで 約120〜240万円
水回りと給湯器を替えると 約300〜750万円
屋根や浄化槽まで直すと 約450〜1,200万円
断熱までやり直すと 1,000万円を超えることがほとんど(当社の実例から)
※断熱以外は、国の税率とリフォームの一般的な相場から出した概算です。断熱は当社の実例をもとにした目安です。家の状態で大きく変わります。
順番に見ていきます。
飯綱町で「安い空き家」として出てくる家は、この年代が多いです。ここが大事なポイントなので、あとで出てきます。

| 項目 | この家の場合 | 計算 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 5.5万円〜最大33万円 | 通常の上限は100万円×5%+税。特例あり(下で説明) |
| 売買契約書の印紙 | 500円 | 軽減措置(2027年3月31日まで) |
| 登録免許税 | 4万円 | 土地200万×1.5%+建物50万×2% |
| 司法書士の報酬 | 3〜10万円程度 | 事務所によって違います |
| 不動産取得税 | 4.5万円 | 土地200万×1/2×3%+建物50万×3% |
| 固定資産税の精算 | 数千円程度 | 引き渡し日以降の分を売主さんに払う慣習 |
| 合計 | 約18〜52万円 | |
出典:国土交通省(報酬告示)、国税庁(登録免許税・印紙税)、長野県(不動産取得税、2026年6月30日更新)。司法書士報酬は民間の解説記事による目安。
100万円の家に、手数料と税金で18〜52万円。物件価格の2〜5割です。1,000万円の家なら諸費用は1割もかかりませんから、安い家ほど、この割合が重くなります。
2024年7月から、800万円以下の物件は、仲介手数料を最大33万円(税込)まで受け取れる特例ができました(国土交通省の告示)。通常の計算なら、100万円の家の手数料の上限は5.5万円です。
なぜこんな特例ができたのか。100万円の家でも、1,000万円の家でも、調べる手間は同じだからです。登記簿、境界、道路、水道、法令の制限。むしろ古い家ほど調べることが多い。それで5.5万円では、引き受ける不動産屋がいなくなる。
県の移住メディアSuuHaaの中野市の記事でも、市の担当者が「100円だと採算が合わず、土地調査にむしろお金がかかる」と話しています。
特例を使うには、依頼を受ける時点で金額を説明し、合意をもらう必要があります。「手数料はいくらですか」は、最初に聞いていい質問です。
当社では、800万円以下の物件の仲介手数料は、基本的にこの33万円(税込)をいただいています。ただ、100万円前後の物件については、お客様と相談しながら決めることもあります。いずれにしても、金額は最初にお伝えします。
登録免許税や不動産取得税には、住宅向けの軽減があります。建物の登録免許税は2%が0.3%になる、不動産取得税は評価額から数百万円を差し引ける、などです。
ただし、条件はおおむね「昭和57年1月1日以降に建てられた家」か「新しい耐震基準に合うと証明された家」。昭和50年代前半までの家は、証明がなければ軽減が使えません。上の表で建物を2%・3%で計算したのはそのためです。
一方で、うれしい変更もあります。2026年4月から、中古の家を買ったときの不動産取得税の「免税点」が12万円から34万円に上がりました(建物の評価額が34万円未満なら、建物分の不動産取得税はかからない)。評価額の低い古い家では、建物の取得税がゼロになることが増えます。
ここからが本番です。古い空き家で、よく出てくる費用を並べます。
| 項目 | 一般的な相場 |
|---|---|
| 家財(残置物)の処分・一軒家 | 約24〜66万円 |
| 凍結防止帯・水抜き栓の交換 | 約8〜17万円 |
| 凍結で破裂した配管の修理 | 1か所 約2〜5万円 |
| 石油給湯器の交換 | 約20〜50万円 |
| トイレ | 約20〜70万円 |
| 浴室(ユニットバス) | 約80〜160万円 |
| キッチン | 約80〜250万円 |
| 屋根(塗装〜葺き替え) | 約60〜300万円 |
| 浄化槽の設置(5〜7人槽) | 約80〜140万円 |
出典:SUUMOリフォーム、遺品整理・給湯器・水道・浄化槽の各業者の相場ページ(2026年9月時点)。公的な相場ではありません。
当社の実例から
昭和50年代に建った住宅で、キッチン・お風呂・トイレを全部替えると、だいたい300万円。
そこに断熱もきちんと入れるなら、さらに500万〜1,000万円くらいかかります。
古い家の寒さは、水回りを新しくしても変わりません。冬に快適に暮らすところまで考えると、断熱の費用が一番大きくなる。これが、安い家が最終的に1,000万円を超えやすい理由です。
飯綱町には「空き家家財道具等処分支援補助事業」があります。費用の2分の1、上限20万円。ただし対象は空き家の持ち主(と、その配偶者・3親等以内の親族)で、空き家・空き地バンクへの登録などの条件がつきます。
つまり、買う人ではなく、売る人が使う補助です。「家財は片付けてから引き渡してもらえませんか。町の補助が使えるようです」と、交渉の材料にできます。
人が住んでいない家は、冬に水抜きがされていないと配管が凍って割れます。隣の信濃町でも、100万円の古民家を買った方が、留守のあいだに水道管が破裂して玄関が水浸しになった話がSuuHaaに載っていました。
内覧のときに「最後に水を通したのはいつか」「冬は水抜きしていたか」を聞いてください。答えられない家は、配管の修理を予算に入れておくのが安全です。
飯綱町の生活排水は、下水道(約6,700人)、農業集落排水(約2,100人)、浄化槽(約700人)、そして汲み取り(約680人)に分かれています(町の一般廃棄物処理基本計画・令和6年度)。
古い空き家では、汲み取りや古い単独浄化槽のままのことがあります。水洗にするなら、下水道・農業集落排水の区域の外は合併処理浄化槽が必要です。町の補助(5人槽39.9万円など)がありますが、区域の外に限られ、工事の前に申請が必要です(建設水道課 下水道係 026-253-4767)。
| パターン | 中身 | 総額の目安 |
|---|---|---|
| A そのまま住む | 物件+諸費用+家財処分+凍結対策 | 約120〜240万円 |
| B 水回りを替える | Aに、給湯器・トイレ・浴室・キッチン | 約300〜750万円 |
| C 家の外まで直す | Bに、屋根・浄化槽など | 約450〜1,200万円 |
| D 断熱までやり直す | 物件+諸費用+水回り3点(約300万)+断熱(500〜1,000万) | 約900〜1,450万円 |
※A〜Cは上の相場表を足し合わせた概算、Dは当社の実例をもとにした目安です(いずれも補助金を引く前)。A〜Cに耐震改修・断熱改修は含みません。
Aで住める家は、正直、多くありません。水回りが使えて、雨漏りがなく、冬に配管が割れていない。この3つがそろっている家です。
そして、古い家には耐震の問題もあります。昭和56年以前の家の耐震改修には町の補助がありますが、先に町の耐震診断が必要です。詳しくは耐震改修の補助は、順番を間違えると使えませんへ。
出典:飯綱町公式サイト(2026年4月1日・7月6日更新ほか)、長野県公式サイト(2026年9月25日確認)
⚠ 補助金は「申請 → 決定 → 契約・着工」の順番
家を買ったあと、うれしくなってすぐ工事を頼むと、リフォーム補助は受けられません。浄化槽も、県の助成も同じです。工事の話は、補助の申請が通ってから。これだけは覚えて帰ってください。
町の購入補助とリフォーム補助は、同じ家で両方使えます。当社のお客様にも、両方の補助を受けた方がいます。100万円の家なら購入補助が10万円、リフォームに100万円以上かけるならリフォーム補助が上限の50万円。合わせて60万円です。
固定資産税が年1万円台なのは、古い家のいいところです。ただ、断熱の弱い家は灯油代で取り返されます。安い家の本当のコストは、買うときより、住んでからじわじわ出てきます。
✓ 名義は売主さんになっているか(相続登記が終わっていない家は、そのままでは売買の登記ができません。相続登記は2024年4月から義務になっています)
✓ いつ建った家か(昭和57年1月1日より前か後かで、税の軽減と耐震の話が変わる)
✓ 排水は、下水道・農業集落排水・浄化槽・汲み取りのどれか
✓ 冬のあいだ、水抜きはされていたか
✓ 家財は、誰がいつ片付けるか(売主さんが町の補助を使えるかも)
安い家は、「安い理由」ごと買うことになります。
古い、直すところが多い、調べると手間がかかる。だから100万円なんです。それ自体は悪いことではありません。理由が分かっていて、それを自分で引き受けられるなら、100万円の家はとてもいい買い物になります。町有地の入札を読み解いた安いのには、全部理由が書いてありますでも、同じことを書きました。
困るのは、理由が分からないまま買ってしまうこと。だから私たちの仕事は、買う前にその理由を全部机に並べることだと思っています。
そしてもうひとつ。総額で考えると、「300万円で状態のいい家」のほうが、「100万円の家」より安く済むことも普通にあります。物件価格だけで比べないでください。
🏠 100万円の家は、手数料と税金だけで18〜52万円。物件価格の2〜5割
🔧 そのまま住めて120〜240万円、水回りを替えて300〜750万円、屋根や浄化槽まで直すと450〜1,200万円。断熱まで入れると1,000万円を超えることがほとんど
📜 昭和57年より前の家は、税の軽減が使えないことが多い。一方で2026年4月から取得税の免税点は上がった
⚠ 補助金は「申請 → 決定 → 契約・着工」の順番
🧮 物件価格ではなく、総額で比べる
100万円の家には、夢があります。その夢を、住んでから後悔に変えないために。買う前に、一度総額を一緒に計算させてください。
気になる空き家の「本当の総額」、一緒に出します
物件のURLや住所を教えていただければ、買う前に確かめるべき点をお伝えします。工事の見積もりまで一社でご相談いただけます。ご相談・査定は無料です。
📞 0120-253-243
※税額は仮定した評価額での概算です。実際の税額は、固定資産税の評価額と個別の条件で決まります。法律・税務の個別の判断は、専門家・各窓口にご確認ください。補助金は必ず役場・県にご確認ください。