2026.10.16
こんにちは。ツチクラ住建の土倉です。
皆さんが土地を買う際に、おそらく初めてみるであろう書類に重要事項説明書があります。物件に関する様々な内容が書かれています。その中にはさまざまな法令に関するものがあり、ちょうど買主の集中力がなくなってきたころにその部分が訪れます。建築物の高さに関する制限だったり、埋設物に関する重要な告知があったりと購入に関して重要な判断となる部分もあるため注意が必要です。
今回から、「土地を買う前に見る書類」というシリーズを始めます。第1回は、少し聞き慣れない「埋蔵文化財(まいぞうぶんかざい)」の話です。
① その土地が「遺跡の範囲」に入っているか
飯綱町教育委員会に照会できます(FAX・メール、または、いいづな歴史ふれあい館の窓口)。
② 入っていたら、工事着手の60日前までに届出
根拠は文化財保護法第93条。家の新築や解体も対象になり得ます。
③ 届出のあと、協議と「保護措置」がある
発掘調査・工事立会・慎重工事のいずれか。工期に影響する可能性があります。
一言でいうと、「着工の2か月前では遅いかもしれない」のが、この手続きです。
飯綱町のホームページでは、埋蔵文化財を「文化財が土地に埋まっている状態の総称で、集落跡や城館跡、出土する土器や石器などのこと」と説明しています。
そして、法律上の届出が必要になるのは、そうした文化財が埋まっている土地として「周知されている土地」、つまり「周知の埋蔵文化財包蔵地」を工事で掘る場合です(文化財保護法第93条)。
町のページで対象として挙げられているのは、「地下に影響を及ぼす一切の行為」。具体的には次のとおりです。
| 町が例示している工事 |
|---|
| 土地の掘削/建物の新築・解体/造成/土地改良/土地開発/盛土工事 |
「家を1軒建てるだけだから関係ない」とは、言い切れないということです。

飯綱町のページ「開発行為に伴う埋蔵文化財の保護」(2026年7月15日掲載)に書かれている流れを、そのまま整理します。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 照会 | 開発する場所が遺跡の範囲か、教育委員会にFAX・メールで照会。いいづな歴史ふれあい館の窓口でも確認できる |
| 2. 届出 | 遺跡内で掘削を伴う場合、着手予定の60日前までに提出。必要書類は「文化財保護法第93条届出」様式、「土地発掘調査承諾書」、工事内容がわかる書類 |
| 3. 協議 | 開発側と町教育委員会で協議。理想は現状保存。やむを得ず開発する場合は発掘調査をして記録保存を選ぶ |
| 4. 保護措置 | 長野県(県民文化部)からの通知により、発掘調査・工事立会・慎重工事のいずれかを実施 |
| 5. 着工 | 調査終了時に町教育委員会から連絡。現場での保護措置が終われば工事に着手できる |
なお、届出の受理や指示は、法律上は文化庁長官の権限ですが、文化財保護法施行令第5条により都道府県の教育委員会が行うことになっています。長野県からの通知で保護措置が決まるのは、このためです。
長野県の「埋蔵文化財関係事務処理要綱」には、どれになるかの基準が書かれています。ざっくり要約すると、こうです。
| 措置 | 主にどんなとき(県要綱の別紙より要約) |
|---|---|
| 発掘調査 | 工事で埋蔵文化財が掘削・破壊される場合など |
| 工事立会 | 対象地が狭くて通常の発掘調査ができない場合、現地で状況確認が必要な場合など |
| 慎重工事 | 遺構の状況と工事内容から、発掘調査も立会も必要ないと考えられる場合 |
同じ要綱では、遺跡を守るための土の層が30cm未満しか残らない工事も、影響がある場合として扱われています。基礎の深さや造成の内容によって判断が変わる、ということです。
正直に言うと、自分の土地がどれになるかは、届出して協議してみないと分かりません。だからこそ、早めの照会が大事です。
ここは、みなさんが一番気になるところだと思います。
文化庁の制度を説明している島根県のページでは、遺跡を現状保存できない場合は事前に発掘調査をし、その経費は開発事業者に協力を求めている(事業者負担)としています。一方で、個人が営利目的でない住宅を建てる場合など、事業者に負担を求めるのが適当でないと考えられる場合には、国庫補助など公費で実施する制度があるとも書かれています。
⚠️ 確認中です
飯綱町・長野県で、個人住宅の場合に調査費がどう扱われるか(公費になる条件、自己負担の有無や目安)は、町・県の公開資料では確認できませんでした。飯綱町教育委員会 生涯学習係に問い合わせ中です。分かり次第、この記事に追記します。
町のページでは、届出の必要書類に「土地発掘調査承諾書」が含まれています。土地の持ち主の承諾が要る、ということです。買う前に話がまとまっていないと、手続きが止まる可能性があります。
宅建士として、条文を確認したうえで正直に書きます。
重要事項説明で「必ず説明しなければならない法令上の制限」は、宅建業法施行令第3条に列挙されています。その中の文化財保護法の項目は、重要文化財や史跡名勝天然記念物などに関する規定(第43条・第125条など)で、第93条(周知の埋蔵文化財包蔵地の届出)は列挙に入っていません。
ただ、宅建業法第47条は、土地の「現在若しくは将来の利用の制限」など、買う人の判断に重要な影響を及ぼすことを、故意に告げないことを禁じています。着工の60日前までに届出が要り、調査で工期が延びるかもしれない土地。これが判断に影響しない、とは私には思えません。
なので私は、土地を扱うときは「遺跡の範囲に入っているか」を教育委員会に照会し、その結果をお伝えすべきことだと考えています。
買う前のチェック(当てはまったら要注意)
あわせて、このシリーズでは都市計画も扱っています。飯綱町では都市計画の原案閲覧が10月23日までです。土地を検討中の方は、こちらもあわせてご覧ください。
→ あなたが買おうとしている土地、都市計画が変わるかもしれません
この記事のまとめ
地面の下には、この土地で暮らしてきた人たちの跡が眠っています。それを知ったうえで、安心して家を建てていただけたらと思います。
その土地、買う前に一緒に確認しませんか
遺跡の範囲、都市計画、農地かどうか、水道の引き込み。土地には、買う前に見ておくべき書類がいくつもあります。飯綱町・信濃町・長野市北部の土地なら、地元の不動産屋としてお手伝いします。査定・ご相談は無料です。土倉進太郎がまずはお話を伺います。
問い合わせ先
飯綱町教育委員会 生涯学習係 電話 026-253-6560/FAX 026-253-6670
※手続きの流れは飯綱町「開発行為に伴う埋蔵文化財の保護」(2026年7月15日掲載)、条文は文化財保護法第92条・第93条、文化財保護法施行令第5条、宅地建物取引業法第35条・第47条、同法施行令第3条、措置の基準は長野県「埋蔵文化財関係事務処理要綱」、費用負担の一般的な説明は島根県ホームページによります。制度の内容・様式は変更されることがあります。必ず飯綱町教育委員会にご確認ください。
「土地を買う前に見る書類」シリーズは、これから回を重ねていきます。ブログは毎週月・火・木・金の朝7時に更新しています。