2026.10.15
こんにちは。ツチクラ住建の土倉です。
学生のころ、深夜のカラオケ店でアルバイトをしていました。仕事が終わるのは明け方。まだ暗い道を車で帰っていたある日、ヘッドライトの先に、大きな白い猪が立っていました。『もののけ姫』に出てくるような、本当に大きなやつです。あの朝のことは、今でもはっきり覚えています。
真冬の坂中峠では、大きなトラックが雪でスタックしていたこともありました。通りかかった知らない人たちが5人くらい車から降りてきて、みんなで押しました。名前も知らないまま、動いたら手を振って解散です。
この町で車に乗っていると、そういうことが起きます。車は移動の道具であると同時に、暮らしの一部なんです。
さて、今日は「その車がなくても、飯綱町で暮らせるのか」という話です。
移住相談で、ときどきこう聞かれます。
「車を持っていないんですが、飯綱町で暮らせますか?」
免許はあるけれど運転していない、いわゆるペーパードライバーの方。そもそも免許を持っていない方。都会で車を持たずに暮らしてきた方にとって、これは大事な問いです。
先に、町がどう書いているかをお見せします。飯綱町の移住サイトには、はっきりこうあります。
車を持つ事はほぼ必須
町の公式サイトがそう言っている。では、本当に無理なのか。駅、バス、買い物、病院、雪、お金の順に、一次情報で確かめてみました。
暮らせなくはありません。ただし、条件つきです。
この3つがそろわないと、正直、きびしい。理由を順番に書きます。
飯綱町内にある駅は、しなの鉄道 北しなの線の牟礼駅だけです。隣の豊野駅は長野市、古間駅は信濃町です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 牟礼駅 → 長野駅 | 乗り換えなし・約23分 |
| 運賃 | きっぷ430円(ICカード429円) |
| 平日の長野方面 | 1日16本/始発 6:23 |
| 長野発の最終 | 22:05発(牟礼 22:28着) |
出典:飯綱町公式サイト「北しなの線 時刻表」、駅探(2026年9月25日確認)
長野駅まで23分・乗り換えなし。朝の始発も夜の最終も、通勤・通学なら十分使える時間帯にあります。
ただし、本数には波があります。平日の長野方面は、9時29分の次が11時13分。約1時間40分、電車が来ない時間帯があります。町の移住サイトにも「電車が1時間に1本、場合によっては1時間以上停車しないことも」と書かれています。
「ちょっと長野まで」は、時刻表を見てから動く。これが車なし生活の基本動作になります。

駅から遠い家に住む場合、町内の移動の中心は予約型乗合の「iバス(デマンドワゴン)」です。自宅の近くで乗り降りできます。
出典:飯綱町公式サイト「iバス」(2026年6月10日更新)
便利な仕組みです。ただ、自宅の近くで乗り降りできるのは平日の昼だということは押さえてください。休日の買い物には使えません。
土日祝は、牟礼駅と観光拠点を結ぶ予約型の「iバスコネクト」が走っています。こちらは暮らしの足というより、観光向けの路線です。
町の公共交通マップ(2026年4月版)を見ると、平日の昼以外にも手段があります。
出典:飯綱町 公共交通マップ(2026年4月版)。祝日・お盆・年末年始の運行は各便で異なります。
長野市で飲んで、最終の北しなの線で牟礼駅に着いても、「よるタク」なら家まで帰れる。これは知っておいて損はありません。ただし、日曜の夜は、どちらも走っていません。
町から長野市へ走っていた長電バスの牟礼線は廃止され、2025年10月1日から「乗合タクシー牟礼線」(ジャンボタクシー・定員10名)に変わりました。
出典:長野市公式サイト「乗合タクシー牟礼線」(2025年12月8日更新)
つまり、土日に長野市へ出る公共交通は、実質、北しなの線だけです。ここは正直に書いておきます。
町の移住サイトによると、町内にあるのはスーパー1、コンビニ3、薬局4、ホームセンター1。
毎日の食材は町内でなんとかなります。ただ、店の数が少ないので、「近所のスーパーまで歩いて5分」という暮らしは、ほぼ望めません。長野市に出たついでにまとめて買う。車なしで暮らす人は、だいたいこの形に落ち着きます。
なお、65歳以上の方には、タブレットで店とつないで自宅に届けてもらう「お買い物サポートプロジェクト」もあります(火・木曜)。
病院は、牟礼にある町立飯綱病院が中心です。2026年10月1日には小児科が開設されます(診療日などは病院からの発表待ち)。子育て世帯にとっては大きな変化です。詳しくは飯綱町の子育ては、10月に何が変わるのかに書きました。
飯綱町には気象庁の積雪の観測地点がありません。そこで、南北の2地点を並べます。
| 地点 | 1年でいちばん積もった深さ(平年) | 1年の降雪量(平年) |
|---|---|---|
| 長野(南隣) | 33cm | 163cm |
| 飯綱町 | 観測なし。町は「大人のひざぐらいまで積雪することも珍しくありません」と案内 | |
| 信濃町(北隣) | 114cm | 726cm |
出典:気象庁 平年値(1991〜2020年)、飯綱町 移住Q&A
町は町道約245kmを、37台の機械で除雪しています(町の過疎地域持続的発展計画より)。車道はちゃんと除雪されます。
一方で、歩道の除雪について書かれた町の資料は、見つけられませんでした。車で暮らす人は気にしない部分ですが、歩く人には大事な部分です。
地元で暮らしてきた体感ではありますが、冬の朝に歩いてみると、いちばん大変なのは雪の深さより路面の凍結です。とにかく道が凍って滑る。一歩ごとに足元に神経を使うので、短い距離でも、目的地に着くころにはどっと疲れています。駅まで歩いて10分の家でも、冬の10分は夏の10分とは別物だと思ってください。
隣の信濃町で車なし生活をした方の話が、県の移住メディアSuuHaaに載っています。朝7時の仕事のために冬は6時に家を出て、雪に埋もれながら1時間歩いた。結局その方は車を買い、大雪の日は朝・休憩中・帰宅後の3回、駐車場の雪かきをしたそうです。車があってもなくても、雪とは付き合うことになります。
「車なし」を考える方は、費用も気になっているはずです。維持費がいちばん安い軽自動車で計算します。
| 項目 | 金額 | 1年あたり |
|---|---|---|
| 軽自動車税 | 10,800円/年 | 10,800円 |
| 車検(法定費用込み) | 7〜8万円程度/2年 | 約37,500円 |
| スタッドレスタイヤ | 4本 約2〜3万円(工賃・ホイール別) | 約6,000円(4シーズン使うとして) |
| 小計 | 約5万5千円 |
出典:総務省(軽自動車税)、損害保険料率算出機構(自賠責)、楽天Car車検・価格.com(2026年9月時点の相場)。車検費用は車種・整備内容で変わります。
これに任意保険、ガソリン代、車の本体代が乗ります。なお、車検に含まれる自賠責保険(軽・24か月)は、2026年11月1日以降の契約から17,540円 → 18,660円に値上がりします。
数学の教師だったので、ひとつ計算をしておきます。中古の軽の4WDを50万円で買って5年乗るなら、本体代は1年10万円。上の小計と合わせて、任意保険とガソリン代を除いても年15万円前後。月にすると1万3千円くらいです。
高いと感じるか、安いと感じるか。それは、長野市へ出るたびの電車賃と時間、雪の日の1時間の徒歩と比べて決めることだと思います。
車なしでも暮らせる可能性が高い人
✓ 牟礼駅から歩ける家に住める
✓ 平日に長野市へ電車で通勤・通学する
✓ 在宅の仕事で、平日昼に用事を済ませられる
✓ 大きな買い物は「長野市に出たついで」でいい
きびしい人
✓ 三水地区や、駅から遠い集落に住みたい
✓ 小さな子どもがいて、急な通院や送迎がある
✓ 土日に動くことが多い
✓ 仕事が町外で、朝7時前や夜遅くの移動がある
1.車なしで探すなら、条件の1番目は「牟礼駅から歩けるか」です。
ただし、飯綱町は賃貸そのものが多くありません。町の移住サイトの賃貸検索に載っていたのは、この記事を書いた時点で町全体で4件でした。探すなら早めに、そして根気よく。
2.「今は車なし、いずれ持つかも」なら、駐車スペースは2台分ある家を。
住んでから車を持つ人は多いです。そして子どもが大きくなると2台目が要る家庭も多い。駐車場のない家を買って、あとから困る。これはよく見る失敗です。
3.冬に一度、朝7時台に駅まで歩いてみてください。
夏の内覧では、この感覚は絶対に分かりません。冬の暮らしを確かめる内覧のコツは、空き家を見るなら、秋がいいにも書きました。
4.迷うなら、まず長野市で借りて暮らす手もあります。
長野市の中心部なら、車なしの暮らしはずっと現実的です。そこで冬を越し、ペーパードライバーを卒業してから飯綱町へ。こういう「二段階」の移住も、ひとつの選び方です。
高齢の親御さんを呼び寄せる方へ。飯綱町には、運転免許を自主返納した町民への支援(町内タクシー券・北しなの線のきっぷ・ICカードのポイントから2つ選択)と、70歳以上の方の「おでかけパスポート」(路線バスとiバスが1回上限300円)があります。
☀️ 町内の駅は牟礼駅だけ。長野駅まで23分・平日16本。昼に1時間40分あく時間帯あり
🚐 町内の移動は予約制のiバス(平日の昼・200円)。朝夕の定時便と、夜の「ナイトワゴン」「よるタク」もある
🚌 長野市へのバスは2025年10月から平日だけの乗合タクシーに。土日は実質電車だけ
❄️ 雪は長野市と信濃町のあいだ。歩く人には、車の人とは違う冬がある
💴 軽自動車は、税・車検・タイヤだけで年5万5千円ほど。本体代を足しても月1万円台
正直に書くと、飯綱町は車があるほうが、ずっと暮らしやすい町です。町もそう書いています。
それでも、駅の近くで、平日に長野へ通う暮らしなら、車なしでも回ります。大事なのは「なんとかなるだろう」で決めないこと。時刻表と冬を、自分の目で確かめてから決めてください。
駅から歩ける家、駐車場2台分の家。条件からお探しします
「車なしで暮らせる場所はあるか」というご相談も、土倉がまずお話を伺います。ご相談は無料です。
📞 0120-253-243
※時刻表・運賃・制度は変わることがあります。お出かけ前・お申し込み前に、必ず各事業者・役場にご確認ください。