2026.10.13
こんにちは。ツチクラ住建の土倉です。
お客様のところに訪問するといろいろな話が聞けますが、よく「道路が凹んでいるがいつまで経っても直してくれない」「補助金が降りると思ったけど役場の担当に降りないと言われた」など役場(ないしは飯綱町)への不満をよく聞くことがあります。
今日は、町民が役場に書いた「不満・不安」の一覧を、移住を考えている方と一緒に読んでいきます。
「飯綱町って住みにくいの?」と聞かれることがあります。正直に言うと、これに一番よく答えてくれる資料は、移住パンフレットではありません。町民自身が書いたアンケートの自由記述です。
2026年8月19日に開かれた「第三次飯綱町総合計画 第2回審議会」で、町が「アンケートにみる町民の不満・不安や要望等の整理」(資料5)という資料を出しました。令和7年度に実施した町民・小学生・中学生・高校生・事業者のアンケートの自由記述欄から、町政への不満・不安と要望を抜き出し、7つの分野に整理したものです。会議録と一緒に、9月11日から町の公式サイトで誰でも読めます。
先に結論です
① 町民の不満は「子育ての受け皿」「医療」「雪と移動」に集まっている
資料で「特に多かった意見」として挙がっているのは、児童クラブ・保育園、小児科などの診療科不足、除雪、公共交通、免許返納後の移動などです。
② ほとんどは、物件選びの段階で「対策できる」
家の場所・道・距離の選び方で、かなりの部分は避けたり軽くしたりできます。
③ 町はこの声を、10年計画に入れようとしている
同じ審議会で、計画の骨子案と施策の素案が示されています。
⚠️ 読む前の注意
この資料には件数や順位が書かれていません。分野ごとに「特に多かった意見」という欄があるだけです。ですから、この記事でも「多かった順」には並べていません。以下の「」内は資料の表現をそのまま引いています。

「特に多かった意見」は、児童クラブの利用制限・受入体制、保育園の入園・待機児童、共働き世帯への子育て支援、子どもの遊び場・居場所。そして「子育て環境への不安から町外転出を検討する声」まで書かれています。
要望には「病児・病後児保育の充実」「雨の日でも遊べる屋内の子どもの遊び場の整備」が並びます。教育では、学校統合や児童・生徒数の減少、スクールバスなど通学環境、部活動の地域移行への不安が挙がっています。
移住者にどう効くか:共働きで来る方には、ここが一番大きいはずです。家を決めてから「児童クラブに入れない」と分かっても、引っ越しは戻せません。
不動産屋として、ひとこと:子育て世帯のお客さんには、物件を決める前に、保育園と児童クラブの空き状況を町の担当に直接聞いておくことをおすすめしています。もう一つは通学路です。地図で近くても、歩道のない道を冬に歩かせることになる家もあります。10月から変わった子育ての制度はこちらの記事にまとめました。
「特に多かった意見」は、小児科を中心とした医療機関・診療科の不足、医師不足や休日・夜間診療への不安、高齢者の生活支援・見守り、通院時の移動手段の確保、介護サービスや介護施設への不安、不妊治療や出産への支援です。
不満の欄には「小児科がなくなり、子どもが受診しにくくなった」「車を運転できなくなった後の通院への不安」とあり、要望には「小児科の開設・充実」「飯綱病院へのアクセス改善(iバス運行など)」が書かれています。
移住者にどう効くか:このアンケートのあと、2026年10月1日から町立飯綱病院で小児科の診療が始まりました(病院の公式サイトで告知)。町民の声のうち、もう形になったものの一つです。詳しくは子育ての記事で書いています。
不動産屋として、ひとこと:今は元気でも、10年後・20年後に「車を降りたら暮らせない家」かどうかは、買う前に考えておく価値があります。病院やバス停までの距離は、物件資料にはまず載っていません。ご自身で測っておいてください。
「特に多かった意見」は、除雪(遅い・不十分・雪の処理)、クマなど野生鳥獣対策、ごみ分別・不燃ごみの処分方法、草刈り・環境美化、街灯・通学路など生活の安全、産業廃棄物最終処分場への不安です。
不満の欄の「除雪後に家の前へ雪が寄せられ、生活に支障が出る」「街灯が少なく、夜道が暗いことへの不安」は、住んでいる人にしか書けない一文だと思います。
移住者にどう効くか:雪は毎年来ます。クマについてはこちらの記事、冬にかかるお金は冬支度の記事にまとめています。
不動産屋として、ひとこと:雪は物件選びでかなり差が出ます。体感ではありますが、牟礼の平地と、三水・北部・別荘地とでは積雪が50cmくらい違います。敷地に雪を置く場所があるか、玄関が道路に面した向きか、も見てください。クマが気になる方は、山際かどうか、敷地に柿やクリの木があるかを確認しましょう(町には誘引木の伐採費を半額、上限5万円まで補助する制度があります)。土砂災害は町のハザードマップで確認できます。
「特に多かった意見」は、生活道路の舗装・補修、歩道や通学路の安全確保、街路灯・カーブミラーなど交通安全施設、空き家の活用・管理、若い世帯向け住宅の確保、老朽化した道路・橋梁・上下水道への対応です。
住宅の欄には「移住希望者が住まいを確保しにくい住環境への不安」「住宅の新築・改修に対する支援制度が分かりにくく利用しにくい」とあります。町民の側から見ても、家は探しにくいということです。
不動産屋として、ひとこと:ここは本業なので、耳が痛いところです。空き家はあるのに、市場に出てこない。これが現実です。空き家バンクの使い方は保存版の記事で正直に書きました。道については、気になる物件は昼と夜、できれば冬にも現地を見てください。舗装の傷みや街灯の数は、写真では分かりません。
「特に多かった意見」は、しなの鉄道・路線バスなど公共交通の利便性、高齢者の免許返納後の移動手段、デマンド交通の利用方法・運行改善、若者が町内で働ける雇用の確保、若者・子育て世帯の定住促進、自治会役員や地域活動の担い手不足、町の魅力や行政情報の発信不足です。
不満の欄には「公共交通だけでは日常生活を維持しにくい」「移住者と地域住民が交流する機会が少ないことの不安」もあります。
移住者にどう効くか:車がない暮らしがどこまでできるかは、車なし移住の記事で確かめました。人とのつながりの不安は、独身で移住したらの記事も参考にしてください。
不動産屋として、ひとこと:自治会(区)の役員の負担は、地区によって違います。家を買う前に、売主さんや近所の方に「区の役員は何年に一度回ってくるか」「区費はいくらか」を聞いておくと、入居後のギャップが小さくなります。
分野6(産業・経済)の「特に多かった意見」は、りんご農業の担い手・後継者不足、高温障害・鳥獣被害など農業経営への不安、スーパー・買い物環境の不足、飲食店・カフェ不足、若者の雇用・企業誘致、りんごを生かした観光・地域活性化です。
分野7(行政経営)には、人口減少・少子高齢化への危機感、住民の意見が行政に届いていないという不満、自治会役員・地域活動の負担、行政情報の分かりにくさ、将来を見据えた行政運営への期待が並びます。
不動産屋として、ひとこと:日常の買い物先まで車で何分かは、物件ごとに必ず測ってください。町内で済ませるのか、長野市まで出るのかで、暮らしの組み立てが変わります。
ここまで読んで、暗い気持ちになった方もいるかもしれません。ただ、私はこの資料を読んで、逆に少し安心しました。理由は3つあります。
1つ目は、町がこの一覧を自分で公開していることです。不満を整理して、審議会の資料として誰でも読める場所に出している。隠していないことは、それだけで判断材料になります。
2つ目は、声が10年計画の骨子に入り始めていることです。同じ審議会の資料3「第三次飯綱町総合計画の骨子案」では、重点プロジェクトとして次の3つが示されています。
| 骨子案の重点プロジェクト |
|---|
| りんごで日本一輝く町へ |
| 飯綱を、みんなの「ふるさと」に |
| 若者や女性に選ばれ、誰もが挑戦できる町へ |
さらに施策の素案には、「小児医療」「医師確保」「夜間診療」「除雪」「空き家活用」「移住者住宅」「土休日のデマンド運行体制の構築」「運転免許返納後の移動手段の支援」「牟礼駅の存続支援」といった言葉が、具体的な事業例として書かれています。アンケートの不満と、ほぼ対応しています。
3つ目は、もう動いたものがあることです。小児科は10月に始まりました。全部がすぐ解決するわけではありません。ただ、声が出て、資料になり、一部は形になっている。これが今の飯綱町です。
資料1のスケジュールでは、10月の第3回審議会で計画の素案を示す予定で、その先にはパブリックコメント(町民の意見募集)の段階も書かれています。移住を考えている方も、計画の行方を見ておくと町の本気度が分かると思います。
この記事のまとめ
不満の一覧は、裏返せば「この町で暮らすと、何に気をつければいいか」の一覧です。移住前にこれを読める町は、私は誠実だと思います。
物件選びでの対策を相談したい方は、ツチクラ住建(0120-253-243/お問い合わせフォーム)までどうぞ。
※「」内の表現は、飯綱町「第三次飯綱町総合計画 第2回審議会 会議録」(2026年9月11日掲載)の資料5「アンケートにみる町民の不満・不安と要望の整理」、資料1、資料3によります。小児科の開始は町立飯綱病院公式サイト(2026年10月1日のお知らせ)によります。計画は策定中で、内容は今後変わることがあります。必ず役場(企画課 企画係 026-253-2511)にご確認ください。
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