飯綱町移住のあれこれ

町有地が260万円で売りに出ていました。安いのには、全部理由が書いてあります

2026.09.17

こんにちは。ツチクラ住建の土倉です。

飯綱町で不動産を探すとき、多くの方は不動産会社のサイトと、町の空き家バンクを見ます。それで十分だと思っている方がほとんどです。

もうひとつ、ほとんど誰も見ていない場所があります。町そのものが、自分の持っている土地と建物を売りに出すことがあるのです。

今年の8月、実際にありました。今日はその公告を、宅建士として最初から最後まで読んでみます。安い物件の「安い理由」が、これ以上ないほど正直に書かれている教材だからです。

土地1,668㎡+建物592㎡が、予定価格260万円

2026年8月5日、飯綱町が「普通財産売払一般競争入札」を公告しました。内容はこうです。

  • 所在:飯綱町大字牟礼字裏町2538番地
  • 土地:地目 宅地、1,668.38㎡(約505坪)
  • 建物:木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建、592.9㎡(約179坪)、築56年
  • 予定価格2,600,000円(消費税込み)
  • 受付:令和8年8月5日〜8月21日/入札:8月24日(月)10:00
  • 入札保証金:130,000円(入札日に現金持参)/契約保証金:契約金額の10分の1

土地505坪と建物179坪で260万円。数字だけ見れば、都市部の方はひっくり返ると思います。

ただ、公告には続きがあります。ここからが本題です。

条件を、ひとつずつ読んでいきます

① 使い道が決められている(これが最大の条件)

買った人は、この物件を児童福祉施設または教育施設として使わなければなりません。しかも引渡しから1年以内に使用を開始し、10年間はその用途を続けることが求められます。

つまり、住宅として買える物件ではありません。「安いから移住用に」という話には、そもそも乗れない。ここを最初に押さえないと、あとの数字は意味を持ちません。

② 現況有姿。あとから文句は言えない

公告には、現況有姿のまま引き渡すと書かれています。そして引渡し後に公告の記載と現況が違っていても、町に対して減額を求めたり契約を解除したりすることは一切できないとあります。

民間の売買なら、重要事項説明書で建物の状況や設備の不具合を説明し、契約書で契約不適合責任の範囲を決めます。公有財産の入札では、そのリスクを買う側が全部引き受けるのが前提です。

③ 建物が未登記。登記は落札者の負担

建物は登記されていません。登記の手続きは落札した人が自分の費用でやることになります。

未登記建物は、あとで効いてきます。金融機関から融資を受けるとき、将来売るとき、相続のとき。「今は困らないから」で放置すると、いちばん困るタイミングで表に出てきます。

④ アスベストと土壌汚染の調査は、していない

公告に明記されています。調査未実施。築56年の建物で、これは決して小さい話ではありません。解体や改修の段階で出てくれば、費用は買った側が持ちます。

⑤ 近隣住民への説明会が必須

買ったら好きに使える、ではありません。近隣の住民への説明会を開くことが条件になっています。これは田舎の不動産らしい条件で、私は良いことだと思っています。地域の中で何かを始めるなら、順番として当然です。

⑥ 敷地の一部は、まだ町が使っている

敷地内の89.43㎡は、令和10年12月31日まで牟礼農林畜産物加工施設として無償で貸し付けられています。買っても、その部分はすぐには自由になりません。

⚠ これだけ並べると、260万円の意味が変わってきます。用途が10年縛られ、現況のまま引き受け、未登記の建物を自分で登記し、アスベストも土壌も自分で調べ、近隣に説明会を開き、一部はまだ町が使っている。260万円は「安い」のではなく、これらを全部引き受ける人にとっての値段です。公有財産の入札では、価格より条件のほうがずっと重い。

不動産屋として、ひとこと

① 公告は、重要事項説明書の代わりではありません。
民間の取引では、宅建士が調べて、説明して、書面を渡します。入札公告は読む側の責任で書かれています。同じ情報量に見えても、立っている前提がまるで違う。ここを混同すると事故になります。

② 「安い不動産」には、だいたい理由が書いてあります。
書いていないこともありますが、今回のように全部書いてある物件のほうが、むしろ扱いやすいのです。怖いのは、条件が書かれていないまま安い物件です。飯綱町の空き家を見るときも、この読み方は同じように使えます。

③ それでも、町が不動産を売りに出すことは知っておいてください。
今回は用途が限定されていたので一般の移住者向けではありませんが、町が手放す物件は、条件次第で誰でも入札できます。情報が出るのは町のホームページの「お知らせ」です。空き家バンクだけを見ていると、まず気づきません。

④ 事業で使う場所を探している方は、この線を見ておく価値があります。
移住して店を始めたい、施設を作りたい、という方にとって、公有財産の売却はひとつのルートです。用途の指定がある分、志のある使い方なら町とも話が合いやすい。

この入札がどうなったか

入札は2026年8月24日に行われました。結果は、この記事を書いている時点で町のホームページには掲載されていません。私も確かなことは分からないので、ここは分からないと書いておきます。

ただ、結果がどうであれ、この公告を読む価値は変わりません。不動産の条件をどう読むかという話は、物件が変わっても同じだからです。

まとめ

  • 🏛️ 2026年8月、飯綱町が土地1,668㎡+建物592㎡を予定価格260万円で入札にかけた
  • 🎯 用途は児童福祉施設または教育施設に限定、1年以内に使用開始、10年間維持
  • 📄 現況有姿。あとから減額請求も解除もできない
  • 🗂️ 建物は未登記。登記は落札者の負担
  • 🧪 アスベスト・土壌汚染の調査は未実施
  • 🤝 近隣住民への説明会が必須。敷地の一部は令和10年末まで町が使用
  • 👀 町有財産の売却情報は町ホームページの「お知らせ」に出る。空き家バンクだけでは気づけない

公有財産の公告は、読みにくいし、退屈です。でも、書いてあることは全部ほんとうのことです。不動産の勉強としては、下手な入門書よりよほど役に立ちます。

移住を考えている方に伝えたいのは、ひとつだけ。この町で不動産が動く道は、あなたが思っているより何本かあります。

※内容は2026年8月5日付の飯綱町普通財産売払一般競争入札公告によります。入札は終了しています。今後の売却情報や条件は、飯綱町役場 総務課 財政係または町公式サイトの「お知らせ」でご確認ください。

公告や物件資料、一緒に読みます

「この条件は現実的か」「この値段は妥当か」の判断は、地元の業者のほうが速いです。町有財産でも、空き家バンクでも、民間の物件でも構いません。査定・ご相談は無料です。土倉進太郎がまずはお話を伺います。

📞 0120-253-243 / お問い合わせフォームはこちら

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