飯綱町移住のあれこれ

人口10,062人。移住雑誌では「人口増」、住民基本台帳では1万人割れ目前。どっちが本当?

2026.10.20

こんにちは。ツチクラ住建の土倉です。

私が通っていた小学校も、いつの間にか閉校になりました。気づけば、町に4つあった小学校は2つになっています。人口の数字は、こういう形で暮らしの中に現れます。

今日は、飯綱町の人口の話です。

最近、少し混乱する数字を2つ見かけました。

  • 移住雑誌『田舎暮らしの本』の編集長が、人口増に転じた自治体の一つとして飯綱町を挙げていた
  • 町が公表する住民基本台帳の人口は10,062人(2026年9月30日現在)。1万人まで、あと62人

増えているのか、減っているのか。どっちが本当なのか。元数学教師として、できるだけシンプルに整理してみます。

先に結論です

① どちらも本当。数えているものが違う
人口の増減は「自然増減(生まれる−亡くなる)」と「社会増減(転入−転出)」の足し算です。

② 飯綱町は「社会増」、でも「自然減」がそれより大きい
2025年は転入が転出を3人上回りました。ただ、生まれる人より亡くなる人がずっと多い。

③ 移住者にとって大事なのは「社会増」のほう
外から入ってくる人が出ていく人と同じくらいいる、という事実は、町を選ぶ判断材料になります。

まず、最新の人口はいくつか

実は「飯綱町の人口」は、どの統計を見るかで数字が変わります。

統計 時点 人口
町の「人口と世帯数」(住民基本台帳) 2026年9月30日 10,062人(4,212世帯)
広報いいづな通信 9月号 2026年7月31日 10,065人
国勢調査(確定値) 2025年10月1日 9,657人
長野県 毎月人口異動調査(推計) 2026年9月1日 9,475人

住民基本台帳は「住民票がある人」の数です。国勢調査は「実際にそこに住んでいる人」を調べた数で、県の推計はその国勢調査を土台に毎月の動きを足し引きしたものです(令和7年国勢調査の確定値を受けて、今後は数字が置き換わっていくと思われます)。

どれが正しいというより、物差しが違うと考えてください。前回の人口記事で使った「2025年 9,668人」は国勢調査の速報値で、10月2日に公表された確定値は9,657人でした。

なお、広報で見た10,065人から、9月30日には10,062人。2か月で3人減っています。「1万人割れ目前」は、住民基本台帳の物差しでの話です。

人口の増減は、2つの足し算でできている

ここからが数学の時間です。といっても、使うのは足し算と引き算だけです。

人口の増減 = 自然増減 + 社会増減

自然増減 = 生まれた人 − 亡くなった人

社会増減 = 転入した人 − 転出した人

移住がうまくいっているかは「社会増減」、町の年齢構成の重さは「自然増減」に出ます。2つは別の話です。

社会増減:2年連続でプラス

町は2026年1月7日、「2年連続で社会増」と発表しました。毎月人口異動調査に基づく2025年(1〜12月)の数字です。

2025年 人数
転入 254人
転出 251人
社会増減 +3人

(転入・転出とも「その他異動を含む」と町の発表にあります)

+3人は小さく見えるかもしれません。ただ、人口1万人前後の町で、1年に250人ほどが入れ替わり、それでも出る人より入る人が多かった。これは軽い数字ではありません。

自然増減:毎月マイナス

では自然増減はどうか。町の年間の数字は確認できなかったので、長野県が毎月公表している「毎月人口異動調査」の、飯綱町の行を4か月分並べてみました。

2026年 出生 死亡 転入 転出 増減
5月中 4 9 8 8 −5
6月中 1 10 15 14 −8
7月中 3 11 15 12 −5
8月中 3 8 12 15 −8
4か月計 11 38 50 49 −26

計算してみます。

  • 自然増減 = 11 − 38 = −27人
  • 社会増減 = 50 − 49 = +1人
  • 合計 = −27 + 1 = −26人(表の増減の合計と一致します)

一言でいうと、転入と転出はほぼ釣り合っている。減っている分は、ほとんど「生まれる人より亡くなる人が多い」ことによる。これが今の飯綱町です。

4か月で亡くなった方は38人、生まれた赤ちゃんは11人。数字は正直です。国勢調査の確定値でも、65歳以上が4,091人で42.4%を占めています。高齢の方が多い町では、移住者がどれだけ来ても、自然減を社会増だけで埋めるのは簡単ではありません。

※県の推計は「その他(職権記載・消除等)」の増減を含みます。上の4か月はいずれも0でした。月ごとの数字は振れが大きいので、傾向を見るための参考としてご覧ください。

では『田舎暮らしの本』の「人口増」とは何か

長野県の移住メディア「SuuHaa」の記事(2026年3月24日)で、『田舎暮らしの本』の編集長がこう話しています。

記事によると、同誌が全国の自治体に行ったアンケートで、回答した547自治体のうち人口増に転じたのは30ほど。その中に、長野県からは松川村・御代田町とともに飯綱町が入っていたそうです。

確認できたのは、ここまでです。

⚠️ 確認中です

このアンケートの「人口増」が、総人口の増加なのか、転入超過(社会増)なのか、またどの期間の数字なのかは、SuuHaaの記事には書かれておらず、元の誌面も確認できていません。分かり次第、追記します。

ここまでの計算から言えるのは、少なくとも町の公表値では、飯綱町の総人口は減り続けています。一方で社会増は2年連続です。ですから、「人口増」が社会増の意味なら、町の発表と矛盾しません。総人口の増加の意味なら、町の住民基本台帳の数字とは合いません。どちらの意味かが分かるまで、私は「飯綱町は人口が増えている」とは書かないことにします。

不動産屋として、ひとこと

人口の数字を、家選びにどう使うか。私の考えは2つです。

1つ目。社会増は「選ばれている」サイン。転入が転出を上回るということは、毎年それなりの人がこの町に住まいを見つけているということです。実際、町のアンケートでも「若い世帯向け住宅の確保」「空き家の活用」が課題として挙がっていて、家を探す人が一定数いることがうかがえます。

2つ目。自然減は「空き家が出続ける」サイン。亡くなる方が多い町では、住む人のいなくなる家が毎年出てきます。買う側から見れば選択肢が出てくるということでもあります。ただ、出てきた家がすぐ市場に並ぶわけではありません。空き家の探し方は空き家バンクの記事、本当にかかるお金は100万円の空き家の記事にまとめています。

この記事のまとめ

  • 📌 最新の住民基本台帳人口は10,062人(2026年9月30日)
  • 📏 国勢調査(9,657人)とは物差しが違う
  • ➕ 社会増減は2年連続プラス(2025年 +3人)
  • ➖ 自然増減は毎月マイナス(5〜8月で −27人)
  • ❓ 『田舎暮らしの本』の「人口増」の定義は確認中

「増えている」も「減っている」も、どちらも本当です。大事なのは、どの数字が何を数えているかを知ったうえで、自分の判断に使うことだと思います。

人口のもう少し長い流れは、数字で見る飯綱町(前編)と(後編)で書いています。住まい探しのご相談は、ツチクラ住建(0120-253-243/お問い合わせフォーム)までどうぞ。

※数字は、飯綱町「人口と世帯数」(2026年10月1日掲載)、同「飯綱町は2年連続で人口が社会増となりました。」(2026年1月7日)、いいづな通信2026年9月号、長野県「令和7年国勢調査結果(人口等基本集計)」(2026年10月2日公表)別表2・3、長野県「長野県の人口と世帯数(毎月人口異動調査)」令和8年6月〜9月1日現在分、SuuHaa「【20年連続1位】なぜ長野は『移住したい県』に選ばれ続けるの?」(2026年3月24日)によります。統計ごとに数え方が異なります。必ず役場(住民環境課 住民係 026-253-4762/企画課)にご確認ください。

毎週月・火・木・金の朝7時に更新しています。

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